「解除」と「解約」の違いについて

契約書の基礎
どてらいさん
どてらいさん

契約の「解除」も「解約」も、契約が終わることで同じじゃないんですか?

すぎやん
すぎやん

私も同じと思っていましたが、法務を担当するようになってはじめてその違いを教えてもらいました。

解除

「解除」とは、履行が完了していない契約について、契約をはじめからなかったことにすることです。

 法律に規定がある場合の他、当事者間の契約によっても解除可能であり、後者については一定の事由が生じれば一方的に通知するのみで解除できる旨を予め契約しておくことも可能です。

例えば、一戸建て住宅の売買契約の場合は、一般的には「解除」です。解除をすると「一戸建て住宅」の所有権は、契約履行前の状況に戻ることになり、もし買主が申込金など前払金を支払っていた場合、売主に返還の義務が生じます。

解約

「解約」とは、契約をそのときから将来に向かってなくそうというものです。

解約以前の行為については何ら影響を与えない点で「解除」と異なります。

たとえは、アパートの部屋の賃貸借契約は、一般的に「解約」です。すでに適切に履行された期間の賃貸借を元に戻すことはできないからです

どてらいさん
どてらいさん

よくわかりました。そんな違いがあるのですね。

すぎやん
すぎやん

「解除」と「解約」の違いはあるとはいえ、実際の契約書では、厳密には「解約」の意味で「解除」が使用されていることがしばしばあります。
一つの単語の解釈に固執せず、契約書全体の解釈を通じて、条項の意味を読み取ることが大切だと考えます。