どてらいさん
正直、今までは価格交渉以外はほとんど契約交渉ができていないのですが、どうすれば効果的な交渉ができるでしょうか。
すぎやん
まずは、契約交渉の大まかな流れを見ていきましょう。
流れを把握しておくことで、効果的な交渉を進めることができます。
契約交渉の流れ(各段階の概要)
契約交渉の流れは取引の内容、当事者の関係などによって千差万別てすが、大まかには以下のような段階を踏んで進みます。
段階 | 概要 | 対応内容/注意点 |
引合い | 取引相手の選定、確定 取引概要の確認 秘密保持契約の締結 | 契約相手候補者の調査、検討を行う。 公開情報だけで十分な検討ができない場合は、秘密保持契約書を締結して、詳細情報を受領する。 |
予備的交渉 | 取引内容の検討に必要な情報の開示と受領 取引の主要事項の協議、すり合わせ 交渉スケジュールと契約ドラフトに関する協議 MOU(Memorandun of Understanding_覚書)やLOI(Letter Of Intent_意思確認書)など法的拘束力がない書面を締結する場合もあり。 | 秘密保持契約の内容をよく確認し、受領した相手方秘密情報の管理を怠らない。 タームシートを作って、取引概要を効率的に協議する方法もあり。 MOI/LOIにも一定の法的拘束力が認められる場合があるので、それらの内容には注意が必要。 |
ドラフト出し | 予備的交渉で合意した内容を織り込んだ契約ドラフトを提示する。 | 可能な限り、契約ドラフトを提示する役割を取りに行く。 |
契約書各条項の議論 | 契約ドラフトに関する詳細協議。 対案の出し合いと協議を繰り返して、保留事項を絞り込んでいく。 最後まで残った保留事項を協議決定するための会議を、両当事者の責任者出席のもと行うこともあり。 | 契約交渉のメイン段階。 WORDで作成した契約ドラフトに、修正履歴を残して修正案を打ち込みあうが、やり取りを重ねるうちに非常に見にくくなる場合もある。 争点管理表を作成する方法もあり。 |
クロージング | 全ての留保事項をクリアにして、当事者が合意した契約書を作り上げる。 | 最終的な契約書を通読して、誤字脱字を含めて確認する。 必要な場合には、社内稟議による意思決定を行う。 |
捺印/署名 | 契約書への署名または捺印を行う。 契約当事者数の部数を作成し、各1部を保有する。 電子署名の方法も普及し始めている。 | 必要な場合、印紙税納付する。 署名式や記者発表を行う場合も。 |
実際の契約協議は・・・・
実際の契約協議は、上の表に書かれたようなプロセス通りに行われるとは限りません。
しかし、大まかな現在位置を把握して、今後の進行を予測しつつ、スケジュールを意識した契約交渉を進めていくことが望ましいです。
契約交渉の中で1つの条項の1つの論点について議論が白熱し、そこにいたずらに時間を要してしまい、契約全体の交渉がいっこうに進まない、ということがよくあります。そんな時にはその論点は一旦オープンにして、他の論点の議論を進めるという交渉の進行も必要だと考えます。
どてらいさん
実際には、事業計画や経営状況、市場の状況などの要因でスケジュールが決まることが多くて、思うように理想のペースでの契約交渉はできないですよ
すぎやん
それはそうですね。よくわかります。
でも交渉の流れを把握したうえで、諸事情に翻弄されることなく交渉していくことを心がけましょう。