「みなす」も「推定する」も未確定のことを確定させるような言葉で同じような印象なんですが・・・。
確かによく似た言葉ですが契約用語としては、一点大きな違いがあります。
覚えておいて損はないですよ。
「みなす」
「みなす」というのは、実際はそうでないことであってもそうだと確定的に決めてしまう(=認定する)ことです。
いくら当事者の間でそれは事実と違うといっても認められないことになります。
サンプル条文を見ましょう。
買主は、第〇項の受取り検査を書面で売主に委任することができる。この場合、個別契約の定めに従い納入された時をもって納入が完了したものとみなす。
「推定する」
「推定する」というのは、当事者間に別段の取り決めがない場合,又は反証が挙がらない場合に,ある事柄について一応そのように取り扱うという判断を下すことをいいます。
サンプルを見て見ましょう(法令のサンプルです。「推定する」は契約書ではあまり使われません。)
(著作者の推定)
第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
「みなす」と「推定する」の決定的な違い
反証をあげて覆すことができるのが「推定する」、確定していて覆すことができないのが「みなす」、という違いがあります。
そのような違いがあるので、ものごとや約束事を確定的に決めたいという思考のもとで作成する契約書には、主に「みなす」を使用するのだと考えます。
具体的に条文サンプルと効果を見てみましょう。
【サンプル条文】
売主が注文書受領後7日以内に買主に対し何らの申し出もしなかったときは、売主は買主の注文を受諾したものとみなす。
上記の場合、売主において注文書受領から10日後に注文を断りたい事情が生じて売主に対して申し出たとしても、契約上は7日経過時点で注文受諾(=個別契約の成立)が確定してしまっているので、いったん確定的に成立した個別契約の解除の申し出という形になります。
違いが良くわかりました。意識して使い分けたいと思います。