契約交渉で水入りは必要ですか?
水入りって、あの相撲の用語ですよね。契約交渉においても
水入りを効果的に使うと交渉が促進されることがあります。
水入りとは
「水入り」とは、もともと相撲用語で、長時間の取組になり、疲労などのために取組に進捗が見られない状態になった際、行司が取組を一時中断することです。
大相撲でもそんなに頻繁にあるものではないですが、力士が組み合ったまま身動きをしない時間が続くと、行事が両力士の背中をたたいて「待った」といい、組み合った状態を解きます。水入り後は水入りに入ったときの状態に力士を組み合わせて、「はっけよい」の声とともに取り組みを再開します。こんな光景をテレビで見たことがあります。
契約交渉における水入り
契約交渉においても、この水入りと同様のことが行われる場合があります。
矢継ぎ早にカウンター案の応酬をしているときや、両社の主張がぶつかり合って一歩も引かず膠着状態になったときに、ちょっと交渉にインターバルを設けることがあります。
具体的には、対面交渉の場合は、次の交渉まで期間を置くとか、メールでの交渉の場合は、意図的に返信メールを遅らせることです。
水入り期間中は、両者とも、冷静になって契約書全体と、契約書が予定するビジネスについて俯瞰的に考えることができます。
冷静になって考えると、一部の条項についてこだわりすぎていたことや、自己の主張が本来の目的とずれがあることや、発生可能性が極めて低いリスクにこだわりすぎていたことなどに気づくことが多いです。
水入り後は軌道修正して本来の目的に沿った交渉ができることになります。
契約交渉に必要なのは燃える熱意と平常心
契約交渉には、自己の主張を熱く説明し、相手方を説得して納得させるという「燃える闘魂」というべき、熱き心は当然必要です。
この熱意が交渉を優位にすすめる源泉だといえます。
ただ、その熱意だけだと、相手方と真向にぶつかったときに、局地戦で膠着状態になります。
契約交渉にもう一つ必要なのは、冷静に契約全体を俯瞰し、総合的な判断を行うという、平常心です。これがあることにより良い契約が出来上がります。
水入りはその平常心を取り戻すのにとてもいい機会です。
契約交渉で熱くなりすぎたときは、ちょっと水入りをして、平常心に戻って冷静に契約を俯瞰してはいかがでしょうか。きっといい契約をもたらすことになるはずです、
頭を冷やす余裕が大切ってことですね。