「直ちに」も「速やかに」も「遅滞なく」も、どれも急かしている感じが一緒で、あんまり違いが無いとおもうんですが。
契約書に書く場面では、いちおう、違いがあるんです。
まあ、ニュアンスの違いなんですけどね。
「直ちに」vs「速やかに」vs「遅滞なく」
まず、「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」の意味を確認します。
「直ちに」は、何をおいてもすぐにという程度の緊急性を表します。
「速やかに」は、なるべく早く、できるだけ早く、という程度の緊急性を表す場合に用います。
「遅滞なく」は、やむを得ない正当な事由がある場合に限り多少の遅延が許される程度の緊急性を表します。
即ち、緊急性の高いものから「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」という順番となります。
つまり、以下のような感じでしょうか。すぎやんの価値観に基づくオリジナルストーリーです。
大学の合格発表。掲示板に自分の受験番号を発見した受験生の取るべき行動・・・・
「直ちに、お父さんかお母さんに電話連絡!」
「速やかに、お世話になった学校の先生にメール報告!」
「遅滞なく、合格祈願した寺社にお礼参り!」
契約書では・・・
契約書を書く時にも、「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」のニュアンスの違いは意識して書いていった方が良いでしょう。しかし、あくまでもニュアンスなので、例えば、事後何時間とか何日経過したら「直ちに」ではなくなるのか、といったデジタルな基準ではありません。
連絡していたさほど重要ではない事項が変更したときは、「遅滞なく報告」という感じですし、
自身が軽易な契約違反をしていることに気付いたときは、「速やかに報告」という感じですし、
契約の根幹に影響する重大違反があったときは、「直ちに報告」という感じです。
とはいえ、あくまでも相対的な基準であって、書き手、読み手の解釈の違いで紛争になり得る表現ですので、「〇日以内に報告」とか「○カ月以内に報告」というように、具体的な基準を規定することが望ましい場合も多いです。
それぞれのニュアンスの違いがよく分かりました。
では、今日の打合せはこれくらいにして、直ちに飲みに行きましょう!!
良いですね。打合せ議事録は遅滞なく作成するとして、直ちに焼き鳥屋に向かいましょう!