紛争解決条項があかんからあぶない

あぶない契約書
どてらいさん
どてらいさん

紛争解決条項で注意したらいい点は?

すぎやん
すぎやん

そりゃあ、ホームゲームで戦いたいけど、そうはいかないことも多いし。。。

紛争解決条項と紛争解決手段

紛争解決条項とは、「契約に関連して当事者間に紛争が発生し、当事者間の話し合いで解決がつかないときに、どういう手段で解決するかを定める条項です。

紛争解決手段として代表的なものに、公の機関である裁判所で行う「訴訟」と私的な紛争解決機関で行う「仲裁」があります。また、訴訟、仲裁以外にも、調停、あっせんなど様々な手段が紛争解決手段が用意されています。それぞれの手段に長所短所ありますが、日本国内当事者同士の契約書では「訴訟」が選択されていることが多いです。

紛争解決条項(合意管轄条項)で定める内容

紛争解決手段として「訴訟」を選択することに合意した場合、次に、どこの裁判所で訴訟手続を行うか(管轄裁判所)を決定します。民事訴訟法では管轄裁判所を決めるルールが規定されていますが、当事者間で専属的管轄裁判所を合意している場合、その合意した裁判所が管轄裁判所になります。

サンプル条項は次の通りです

第○条(専属的合意管轄)
本契約に関する訴訟については、大阪地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

管轄裁判所をめぐる論点

ここで論点になるのが、合意管轄裁判所をどこの裁判所にするかという点です。

実際に訴訟になると、やはり訴訟対応の便宜とコスト面において有利な、自社の本店近隣の裁判所を合意管轄裁判所にしたいと考えます。
この点、契約当事者が近隣同士であれば、ほぼ論点になりませんが、東京と福岡とか、大阪と札幌などと離れている場合、遠い裁判所で訴訟するとなると、弁護士、証人、法務担当者の移動コストがかさむなどリスクがあります。
したがって、相手方から提示された契約ドラフトで相手方本拠地の裁判所が書かれていたら、これを2重線で消して、自社の本拠地の裁判所に変更するようカウンターを出すということになりがちです。

管轄裁判所でもめた時の1つの解決策(被告地主義)

合意管轄裁判所をめぐる交渉において、パワーバランスや交渉力で相手方を屈服させることができたらいいのですが、デッドロックになった場合にひとつの解決方法があります。
それは訴え出る当事者(原告)が相手方当事者(被告)の本拠地近くの裁判所に乗り込んで訴訟を行うという合意で、「被告地主義」と呼ばれます。

被告地主義の利点としては、まず公平であるという点と、あとひとつ大きな利点として挙げられるのが、「アウエーで訴訟するより話合いでの解決を図ったほうが得ではないか、もう少し話し合い解決の可能性を探ってみよう」という訴訟回避の効果につながるという点です。
サンプル条項は次の通りです。

第○条(専属的合意管轄)
本契約に関する訴訟については、被告となる当事者の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

やっばり訴訟は避けたいな

訴訟というのはコストがかかるし、様々なハレーションが生じます。

もちろん訴訟を避けるために自己が正当に主張できる主張を必要以上にひっこめる必要はありません。

しかし、いずれにしても紛争は起こらないことがベター、紛争が起こったとしても話し合いで解決するのがベストです。そのためには、紛争が起こらないようにするための契約書づくりと当事者関係の構築と維持が大事といえます。

すぎやん
すぎやん

国内契約で、東京地裁か大阪地裁かの争いなら、まあある程度は譲歩の余地もあるでしょうが、国をまたぐ国際契約の場合、影響度は大きくなります。