古物営業法でわかりにくいのは、どのようなビジネスが古物商許可が必要か不要かという点です。ここでは、まず古物営業法の規定を見るとともに、いくつかのよくある質問についてQ&Aの形でまとめてみました。
古物営業法での定義について
- Q「古物」とはどのような物をいうのですか?
- A
古物営業法において、古物とは以下の3つのものを言うとされています。
① 一度使用された「物品」
② 一度も使用されない「物品」で使用のために取引されたもの
③ ①または②の「物品」に幾分の手入れをしたもの- Q「物品」に含まれるものと含まれないものを教えてください。
- A
「物品」には、鑑賞的美術品や商品券・乗車券・郵便切手・航空券・収入印紙等が含まれます。
航空機・鉄道車両・20トン以上の船舶・自走やけん引ができない5トンを超える機械等(船舶を除く)は、除かれます。
- Q許可が必要な「古物商」とは、どういう営業を言うのですか?
- A
「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であって、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの 」を言います。
- Q「古物商」以外に許可や届出が必要な営業について教えてください。
- A
古物営業法には、「古物商」以外に「古物市場主」と「古物せりあっせん業者」が規定されています。
古物市場主とは、古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。)を経営する営業をいい、古物せりあっせん業者とは、古物の売買をしようとする者のあっせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業をいいます。「古物商」または「古物市場主」を営もうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならず、「古物競りあっせん業者」を営もうとする者は、都道府県公安委員会に届出をしなければなりません。
ビジネスモデル別のQ&A
- Q自分で使っていた物をオークションで売りたいと思いますが、許可は必要ですか?
- A
自分で使用していたものも中古品ですので古物には該当しますが、自己使用していたもの、自己使用のために買ったが未使用のものを売却するだけの場合は、古物商の許可は必要ありません。
しかし、自己使用といいながら、実際は、転売するために古物を買って持っているのであれば、許可を取らなければなりません。
- Qお客さんに売った商品を買い戻して、それを他に転売する場合も、許可が必要ですか?
- A
お客さんに売った物を、そのお客さんから買い戻す場合や、買い戻した商品を転売する場合は、許可は必要ありません。
ただし、お客さんからさらに転売されている場合に、その転売先から買い戻す時や、自社製品を売った相手先以外の者から買い戻す場合は、許可が必要になります。また、他の業者が販売した物を下取りする場合も、許可が必要です。
- Q無償で譲り受けた古物を販売する場合も古物商の許可は必要ですか?
- A
古物の買い受け、交換又はこれらの委託により、売主等に何らかの利益が生じる場合は、許可が必要ですが、全くの無償で引き取ってきたもの、あるいは、逆に、処分手数料等を徴収して引き取ったものを売る場合は、古物商の許可は必要ありません(廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められた許可を要する場合があります)。これは、古物営業法が、「盗品等の流通防止や早期発見」を目的としているので、窃盗犯人が盗品を処分しようとするときに何ら利益もなく処分する可能性が低いからです。
- Q関連して、PTAのバザーで、保護者から古い制服等を無償で提供してもらい、必要な保護者にごく安価で販売するとき、許可が必要ですか?
- A
PTAのバザーで無償提供を受けた制服等を販売するのであれば、古物商の許可は必要ありません。一方、リサイクルショップなどで古い制服等を買い入れて、販売する場合は、許可が必要になります。
- Q町内の廃棄物置き場に廃棄されている物を拾ってきて、きれいに清掃して販売するには古物商の許可は必要ですか?
- A
古物商の許可は不要ですが、廃棄されている物を無断で回収すると、廃棄物処理法違反の問題が生じますので、絶対にやめてください。
- Q外国に行って雑貨などを買ってきて、日本で売る場合は、許可が必要ですか?
- A
販売者自身が外国で買い付けをして国内に輸入したものを売るのみであれば、古物商の許可は必要ありません。
しかし、他の業者が輸入したものを日本国内で買い取って(仕入れて)売る場合は、国内の被害品が混在する可能性があるので、許可が必要になります。
- Qレンタル事業を行う場合は、古物商の許可が必要ですか?
- A
古物を買い取ってレンタルに使用するのであれば、許可が必要です。
ただし、製造・販売メーカーから直に新品を購入してレンタルする場合は、必要ありません。
- Q質屋には古物営業の許可が必要ですか?
- A
古物を売却することのみを行う営業は規制対象から除外されていますが、質屋営業に付随して古物の買取を行う営業形態の場合には、古物営業の許可が必要です。
- Q古物市場で古物を買い入れて、自分の営業所で販売する場合は、古物の売却のみを行う営業として古物営業法の規制対象から除外されるのですか?
- A
いいえ。古物市場で古物を買い取る場合でも古物の買取りに該当するから、規制対象です。
- Q今般、下取りセールとして「ご家庭でお使いの掃除機をご持参いただければ、新製品の掃除機を●●円値引きします。」との広告を出したいと計画しているのですが、古物商の許可は必要でしょうか。
- A
サービスとして行う値引きととらえられる下取りセールは古物営業に該当しませんが、微妙な部分がありますので、以下の警視庁通達を参考にご判断ください。
令和4年4月1日警察庁生活安全局生活安全企画課通達(警察庁丁生企発第199号)
問
新品の販売に当たり、買い換えの対象となった古物を下取りし、新品の販売価格を割り引く「サービス」を行う場合、古物商の許可を要するか。
答
新品を販売する業者が、下取りとして古物を引き取る場合、通常古物の買取りを行うものであるから、これを業として行えば古物営業法第2条第2項第1号の古物営業に該当するが、当該取引行為が、いわゆる「「サービス」として行う値引き」としてとらえることができるときは、古物営業に該当しない。問
どのような場合に「「サービス」としての値引き」に該当するのか
答
新品の販売に伴う下取り行為が、次の要件を全て満たす場合は、当該取引は「「サービス」としての値引き」に該当し、古物営業に当たらない。
(1) 形式的要件
下取りした古物の対価として金銭等を支払うのではなく、販売する新品の本来の売価から一定金額が差し引かれる形での経理上の処理が行われていること。
(2) 実質的要件
ア 下取りが、顧客に対する「サービス」の一環であるという当事者の意思があること。
イ 下取りする個々の古物の市場価格を考慮しないこと。
※ 「サービス」とは、「商売で値引きをしたり、客の便宜を図ったりすること。」をいう。(『広辞苑(第7版)』参照)
- Q銅・鉄・アルミニウムなどの金属の古物を売買したいのですが?
- A
銅・鉄・アルミニウムなどの金属の古物を売買する場合は、古物商ではなく、金属くず商許可が必要となります。
- Qチケットの転売するには古物商の許可が必要ですか?
- A
中古のチケットを仕入れて転売するには、古物商許可が必要です。
新品のチケット(プレイガイドなどが扱っているチケット)を仕入れて転売するときや、不要になったチケットを売るときには、古物商許可は不要です。ただし、コンサートなどイベントのチケットに関しては、たとえ古物商許可を取得していても、中古・新品問わず、定価より高く転売すると「チケット不正転売禁止法」に違反します。
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