不適切な損害賠償上限規定があぶない

あぶない契約書
どてらいさん
どてらいさん

損害賠償額の上限額を規定しているのを見かけるが、あれはどうですか?

限界が明記されてて安心といえば安心ですけど。

すぎやん
すぎやん

賠償額上限規定は立場によって良い面と悪い面があるよ。

慎重に検討しないといけない条項の一つだと思います。

損害買収額の上限規定とは

通常、契約の一方当事者が契約違反をしたとき、相手方が被った損害を賠償しなくてはいけませんが、その賠償額が想定以上に膨らんでしまうと、違反した当事者にとって致命的なダメージを受けてしまう場合があります。

例えば、1個数円のねじ部品を数億円規模の損害発生可能性をもつ航空機用に納入するような場合など、契約の取引金額に対して想定される損害額が膨大になるような場合はこのリスクは特に高まります。

このような場合のリスク回避策として、損害賠償金額に一定の上限額を設定するのが、損害賠償額の上限規定です。

甲の乙に対する賠償金額は、〇〇〇〇を超えないものとする。

〇〇〇〇に入る上限額として設定されるのは、〇〇〇円など一定の固定金額の場合もあれば、一定期間の取引金額という場合などもあります。

損害賠償額の上限規定は両刃の剣

損害賠償額の上限規定は、当事者のおかれた立場と取引内容によって、利点になることもあれば不利になることもあります。

契約の対象になっている取引からどのような損害が生じうるか、またその金額はどの程度かということを、想像力を高めてシミュレーションして、条項を規定することの是非と規定する場合の上限額の規定内容を検討する必要があります。

その他、損害賠償額の上限規定で押さえるべきポイント

その他、損害賠償額の上限規定で押さえるべきポイントとして、つぎのようなものがあります。

対等になっているか?

ほとんどの契約は双務契約、すなわち、契約当事者の双方が、それぞれ相手方に義務を負っています。損害賠償額の上限規定が、一方の義務違反にだけ設定されているのは不公平ですので、そのような場合は、双方になるよう交渉した方が良い場合があります。

故意、重過失の場合も上限有りになっていないか?

故意に契約に違反したり、当然すべき注意を怠り損害が生じたような場合であっても、「上限額を払っておしまい。」ということになると、被害当事者としてはなんとも不本意です。

したがって、故意、重過失の場合は、損害賠償の上限は適用されないような規定にした方が良い場合があります。

保険との兼ね合いも見ておいた方が良い

事業を進めるにあたり、万一のリスクに備えた賠償責任保険、事業保険などに加入していることもあるでしょう。契約の規定が保険でカバーできるのかについても確認してみてもいいかもしれません。

どてらいさん
どてらいさん

契約は守るつもりだけど、不測の事態で契約違反が発生する可能性もあります。契約違反したとたん青天井の賠償責任を負わされると、事業継続もままなりませんよ。

上限規定は注意するようにします。