契約交渉は全体戦略が必須(森を見よう!)

契約交渉術
どてらいさん
どてらいさん

いま契約交渉中なんですが、ある一つの条項で互いの意見がぶつかってしまって、話が前に進まないんですが・・・

すぎやん
すぎやん

膠着状態ですか・・・。
「木を見て森を見ず」になってませんか?

お互いにちょっと立ち止まり、契約書全体を俯瞰されてはいかがですか。

契約交渉の停滞原因のひとつ、木しか見ていない。枝葉に固執。

契約交渉で、第1条から順番に議論していく中で、ある条項の議論でお互いの主張がぶつかり合って、互いに一歩も引かず、それ以後の条項の議論に進まない。ということがあります。

メールを何度もやり取りしたり、会議を繰り返したりしても、折衷案も妥協案も見いだせず、時間ばかり過ぎていくというパターンです。お互いに、多少、意地になっているかもしれません。

このように交渉が膠着状態になったときに思い出したいのが、
「木を見て森を見ず」になっていませんか?
ということです。

ギリギリの契約交渉をしていると、一つの条項のある部分が気になって仕方なくなることがあります。「この部分を相手の主張で合意してしまうと、当方は大きなリスクを背負い込むことになる。絶対阻止しないといけない。」と考えて、思考が硬化していきます。

「木しか見ていない。」「木どころか、枝とか葉っぱしか見えていない。」という、視野が狭くなっている状態です。
「私は、そんなことにはならないよ」思っていても、知らず知らずにそうなってしまいます。

この状態が続くとだんだん相手方に対する感情が悪くなってきます。
「なんて頑固なやつなんだ!」「融通が利かない会社だな!」などとマイナス感情がどんどん膨らんできます。
そして、やがて契約交渉全体にそのマイナス感情が支配してしまいます。

そのような状態になってしまって、何とかかんとかできた契約は決していい契約になりませんし、その時間と労力と交渉担当者のストレスはお互い双方にとってマイナスです。

木しか見ていないときの解決策

このような状態になったときの解決策の第一歩は、まず自分が、今の状態が「木を見て森を見ず」の状態であることに気づくことです。
ちょっと落ち着いて契約全体を見渡すことが有効です。いったん、契約交渉に直接関与していなかったメンバーに問題の論点について相談することも有効かもしれません。

そのようにして冷静になって考えると、こだわっていた論点は、契約が予定するビジネスの中でそれほど大きな論点ではないということに気づかされることが多いです。
今膠着しているここの論点は相手方に譲っても、後に出てくる別の条項で当方の主張をのませるようにしようとか、交渉戦略を切り替えることができます。

契約交渉の膠着状態を解決するためのもう一つの方法

契約交渉の膠着状態を解決するためには、自分自身が「木を見て森を見ず」の状態であることに気づくとともに、相手方にもそれを気づかせることが大事です。

相手方に気づかせる一つの具体的な方法としては、ある条項で主張が互い譲らず先に進まないような場合、「いったんこの条項は、オーブン(保留)にして次の条項に進みましょう。」という提案が効果的です。

そのようにして、論点を留保しながら前へ前へと進めることによって、お互いが「木しか見ていない状態」に気づき、契約の全体を俯瞰して、森を見ることができるようになります。

どてらいさん
どてらいさん

ぼくもちょっと熱くなるところがありますもんで・・・。

冷静に全体を俯瞰する力も必要ですね。

すぎやん
すぎやん

経験上、あとになって冷静に考えるとそこまでこだわることもなかった、ということが意外と多いです。