以上、以下、以前、以後 及びその周辺の契約用語の違いと使い分け

契約書の基礎
どてらいさん
どてらいさん

来年の売り上げ目標は、1億円以上でも以下でもない!

すぎやん
すぎやん

良いですね。その勢いで頑張って下さい。

でも、厳密にいうとその言い回しなんか変な感じがします。

ご存じの話だと思いますが、一度整理しますね。

以上、以下

一定の基準数値に対して、その数値を含んでそれより多いという場合は「以上」を用います。

また、一定の基準数値に対して、その数値を含んでそれより少ないという場合には「以下」を用います。

だから、「〇〇以上でも以下でもない」ということは、どっちでもないということになってしまいますね。

超える、超、未満、満たない

一定の基準数値に対して、その数値を含まずにそれより多いという場合は「超える」または「超」を用います。

また、一定の基準数値に対して、その数値を含まずにそれより少ないという場合には「未満」または「満たない」を用います。

以前、以後

一定の基準点を基準として、その基準点を含んでそれより前という場合は「以前」を用います。

また、一定の基準数値に対して、その基準点を含んでそれより後という場合には「以後」を用います。

前、後

一定の基準点を基準として、その基準点を含まずにそれより前という場合は「前」を用います。

一定の基準点を基準として、その基準点を含まずにそれより後という場合には「後」を用います。

サンプル事例

覚え方としては「以」がつくとその値を含むという覚え方でいいと思います。

基準数値、基準点を含む基準数値、基準点を含まない
基準数値に対して少ない以下未満、満たない
基準数値に対して多い以上超、超える
基準点に対して前以前
基準点に対して後以後

以下、ちょっとあからさますぎるサンプル事例で見て見ましょう。

第〇条
月間仕入額が、100万円以上500万円以下のときは仕入額の3%500万円以上のときは仕入額の5%のリベートを支払うものとする。

これだと、月間仕入額がちょうど500万円のとき、リベートが3%か5%か判然としません。
例えば以下のような変更が必要です。

月間仕入額500万円ちょうどのときのリベートを3%にしたいとき

第〇条
月間仕入額が、100万円以上500万円以下のときは仕入額の3%、500万円を超えるときは仕入額の5%のリベートを支払うものとする。

月間仕入額500万円ちょうどのときのリベートを5%にしたいとき

第〇条
月間仕入額が、100万円以上500万円未満のときは仕入額の3%、500万円以上のときは仕入額の5%のリベートを支払うものとする。

どてらいさん
どてらいさん

言葉の微妙な違いで大違いですね。注意して使っていくようにします。