秘密保持契約を締結するのは割と簡単。でも注意しないと落とし穴にはまるかも。

秘密保持契約のビジネス活用ご提案
どてらいさん
どてらいさん

秘密保持契約が大事だということは良くわかるが、契約書を結ぶとなると、条項内容の交渉などいろいろ大変でしょ。時間がかかるんじゃないの。

すぎやん
すぎやん

いいえ、秘密保持契約は争点が少なめなのでわりと締結しやすい方です。

しかし、まれに問題になる条項が提示されたドラフトに潜んでいることもありますので、内容の確認は必須です。

秘密保持契約を締結するのは割と簡単だけど・・・

秘密保持契約は、売買契約とか委託契約とかと比べると、幾分単純な内容ですし、双方向情報開示の場合では、当事者にとって有利不利の差がつかない対等な内容に落ち着きやすい契約です。また、そもそもお金のやり取りも伴わないのが普通ですので、比較的締結しやすい契約だといえます。

秘密保持契約について交渉する場合、争点はいくつかのポイントに集約化しており、短期に決着することが多いです。

そういった簡単に締結しやすい契約でありながら、秘密保持契約にはヒト・モノ・カネと並ぶ重要資産である「情報」を守るという重要な役割があり、非常に大切な契約であるといえます。

契約締結の手間を避けた結果、秘密保持契約を締結せずに重要な情報の開示を行って「情報」という重要資産を棄損してしまったということになれば、後悔してもしきれません。

また、秘密保持契約には相手方とのビジネスを円滑に進めるための潤滑油のような機能があることも忘れてはなりません。

面倒くさがらずに、秘密保持契約は簡単に締結しやすいが大変重要な契約であるということを念頭に、さっさと交渉と合意をして、締結してしまうことを強くお勧めします。ちょっとの努力にもかかわらず得るものは大きいと後になって気づくはずです。

簡単だからと侮るなかれ。

秘密保持契約の締結は比較的簡単です。しかし、だからと言って契約書の内容の確認を適当にすると思わぬ落とし穴に落ちることがあります。

一流と言われている企業が出してくる秘密保持契約のドラフトには、致命的な影響がある条項が含まれていることはあまりないと思います。しかし、だからと言って内容も読まずにハンコを押してしまうのは絶対にやめておくべきです。
特に海外の巨大企業の中には、秘密保持契約の中に一方当事者の経営基盤を揺るがしかねない重大な条項が置かれていることもあります。

ここでは、実際に秘密保持契約の中に含まれていた危険な条項の2つの例を示しますので、秘密保持契約書を読む際の参考にしてください。

リキダメ条項

リキダメというのは英語のLiquidated damagesで「損害賠償額の予定」という意味です。契約違反等に伴う実際の損害額を確認したり議論することなく一律的に予定額を支払うことになります。

「契約違反したら相手が被った損害を賠償する」ということまではふつうですし、秘密保持契約でも、「受領当事者が秘密情報を漏洩したときは、開示当事者が被った損害を賠償する。」という条項は普通にありがちで、そこまでは良いと思います。

リキダメ条項は、以下のような形になります。

受領当事者が秘密情報を漏洩したときは、開示当事者に対してLiquidated damagesとして100万ドル支払う。

リキダメ条項は、秘密情報が漏洩した時に生じた損害の金額を算定するのが実際には大変だから、あらかじめ賠償金額を合意しておきましょうという考え方の条項です。きわめて合理的な考え方だとは思いますが、実際にはリキダメとして設定する金額がこの例のように非常に高額であることが多く、リスキーな条項だといえます。

エクスクルーシブ条項

エクスクルーシブ条項(Exclusive Clause)とは独占条項の意味で、以下のような形になります。

X社は、本契約の締結から3年間、本契約における情報開示目的と同様の目的で第三者との情報交換を行ってはならない。

X社の立場として、この契約の相手方とのビジネスが想定通りうまく行くのであれば、あまり問題が生じないのかもしれないが、もしも想定通りに行かなそうだったとしても、他の取引相手を探しに行けないという事業上の大きな負担を背負うことになります。

また、この例では、X社の相手方には独占義務が無いので、相手方はX社以外と同目的の情報交換ができるというバランスの悪さもあります。

世の中の事情は変わっていきます。必要以上に縛られる契約には十分注意が必要です。

どてらいさん
どてらいさん

怖いですね。秘密保持契約でもしっかり中身を確認して締結するようにします。

すぎやん事務所
すぎやん事務所

行政書士すぎやん事務所では、経験に裏打ちされた質の高いサービスで、秘密保持契約の作成を行っています。ホームページをご確認ください。

どてらいさん
どてらいさん

あ、宣伝ですね。。。