秘密保持契約を締結しないとどういうことが起きるか。ちょっと考えてみましょう。
あまり脅さないでね。
開示した情報を漏らされても文句を言えない。
秘密保持契約を締結していないと、当方が開示した秘密情報を相手方が誰か他人に漏らしても、または、他の目的に流用されても、「原則として」文句は言えません。
資料の表紙に「マル秘」と書いてあっても、口頭で、「ここだけの話ですので漏らさないで下さいね」と前置きしたとしても、漏れていったことについて、「原則として」文句が言えません。
ここで「原則として」と歯切れの悪い言い方をしているのは、事情によっては、秘密保持契約が無くても、法律的に秘密情報の保護がされる場合があるからです。
その根拠の一つが、不正競争防止法の営業秘密の保護に関する規定です。
不正競争防止法をあてにするのは危険です。
不正競争防止法の第2条第6項では、保護の対象となる「営業秘密」を次のように定義しています。
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
つまり、不正競争防止法違反に該当させるためには、この規定に基づき、秘密管理性、有用性、非公知性の三条件を厳格に満たしている必要があり、実際には、その適用にはなかなか高いハードルがあります。
例えば、秘密保持契約を締結することなく第三者に開示するような情報が、ほんとうに「秘密管理性」を充足するか、という疑義が生じえます。
したがって、不正競争防止法があるから秘密保持契約なんか結ばなくてもいいや、と考えるのは極めてハイリスクの考え方だといえます。
思うような情報が入手できず/提供できず、ビジネスの検討が停滞する。
今度は、相手方の立場で考えてみましょう。
何らかの自社の情報を第三者に開示するときに、
「どのように利用されるかわからない」のに、あるいは
「どこに流出していくかもわからない」のに、
詳しい情報や公開していない情報を開示しないのが普通でしょう。
よほど信頼できる相手でない限り、既にネットなどで公開した情報や公に発表済みの情報しか開示しないはずです。
カタログをお渡しして、「これをご覧になって検討してください。」というだけでしょう。
そうなると、意図していたビジネスが成立することはないでしょうし、やり取り自体が停滞していき、やがて関係が消えてしまうことになりかねません。
逆に言うと、秘密情報も含む情報の交換を活発にし、ビジネス協議をぐっと押し進めていくためには、秘密保持契約が必須不可欠のツールだといえます。
まとめると、秘密保持契約がないと、
情報が洩れても文句が言えない
活発なビジネス協議ができない
ということです。
理解したよ。やっぱ、秘密保持契約は最強だね!
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営業への流れだったのか。