秘密保持契約のオプション条項解説シリーズ第3回は、「情報開示はライセンスではない」についてです。
情報開示はライセンスではない!!?
「情報開示はライセンスではない」という意味の、下記のような条項が秘密保持契約に入っていることがあります。
秘密情報は、開示者の専有財産である。本契約により受領者に明確に付与されている秘密情報を受領し、使用し、開示する権利を除き、本契約も本契約の下での当事者のいかなる行為も、明示的にも黙示的にも、特許権、著作権、営業秘密、ノウハウ、発明・考案、意匠、商標、商号その他のいかなる知的財産権の実施もしくは使用を許諾するものではなく、また、これらの権利にかかるいかなる種類の利益を付与するものでもない。
これは、秘密保持契約で開示する情報は、その開示によって相手方に対してライセンス(使用許諾)した、あるいは売却や譲渡をしたことを意味するものではないという条項です。特に海外の企業が作成した秘密保持契約ドラフトに入っていることが多いです。
この条項に関して、開示した秘密情報のそのような用途での利用は、秘密保持契約の中で禁止している「目的外利用」でもあり、当然と言えば当然のことを確認するための規定といえます。
欧米系の契約意識としては、「契約書に明確に規定されていない事項については、当事者は自由だし拘束されない」という意識があります。したがって、従来的な感覚では「ちょっと考えれば当たり前のこと」、「契約に書くまでもないのではないか」というような内容でもあえて契約書に明記して疑義が生じないようにしようと考えます。
この条項はそういった考え方に基づく条項だといえます。
サンプル条項を見たとき、難しい言葉が使われているし、何言ってるのかなと思いましたが、そういうことなんですね。
難しい言葉で書かれた契約書でも、じっくり読めば意図がわかってくるのであきらめないでね。
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