秘密保持契約のオプション条項解説シリーズ第4回は、競業避止についてです。
競業避止とは
競業避止条項は、一定期間当該契約の相手方と利益の衝突をきたすおそれのある事業を行わないことを誓約させる条項です。
秘密保持契約に競業避止条項が含まれることも・・・
甲および乙は、本契約の有効期間中および終了後3年間は、相手方の事前の承諾なく、本契約第○条に定める本検討と同種の技術検討を、第三者と共同して実施してはならない。
上記は架空の条項ですが、相手方に対して、「本検討に専念してほしい」または「開示した秘密情報の第三者への流出を防止したい」という目的で、創作した条項です。
秘密保持契約では非常にまれでありますが、相手方から提案されたドラフトにこの種の競業避止条項が入っていることがあります。(サンプルは双方当事者の義務ですが中には片方の当事者だけに義務を負わせている場合もあります。)
こんな条項が入っていた場合、どう考えますか?
「お互いが他に浮気せず密接に連携して本検討を実施できるので、結構なことじゃないか」と思われる方もおられるでしょう。確かに、状況によってはこの考え方にも一理ある場合もあるでしょう。
しかし、一般的に法務実務者としては、これを非常に危険な条項ととらえます。
つまり、この秘密保持契約の相手方との検討がうまくいかなくなったときに、本検討から想定していたビジネスについて、全く打ち手がなくなる恐れがあるからです。
契約を締結するときには、普通の人は、つぎのような期待をしています。
「相手方とのビジネスはうまくいく。」
「本検討が失敗するなどありえない。」
「もし万が一、相手方との本検討がうまくいかなかったとしても、相手方は第三者と本検討の実施をすることについて理解(許容)してくれるはずだ。」
しかし、法務実務者としては、そういった期待は「ちょっと楽観的すぎませんか」という意見になります。
最悪のケースでは、本契約期間中+3年間は、本検討から想定していた事業はあきらめなくてはならない。。。という最悪のシナリオから検討していきます。
そこで、秘密保持契約のドラフトにこのような条項が入っているときは、場合によっては、削除するように要請したり、禁止期間や禁止内容を限定的にものに縮小するなどの交渉を行うべきかと思われます。
秘密保持契約といえども、相手方から出てくるドラフトには、しれっとこのようにリスク度合いの強い条項が含まれている場合もありますので、きちんと内容は確認したうえで締結するべきです。
怖いですね。契約を読まずに結んでしまい、あとになって気づいても・・遅い、ということですね。
秘密保持契約だからと言って軽視してはいけないということですね。
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