秘密保持契約をビジネスに活用するための5つのコツ

①御社の業務手順書に秘密保持契約締結を取り入れましょう

1つ目は、ルールにしてしまいましょう、というご提案です。

御社のビジネスにおいて秘密保持契約を締結する場面を想定していただき、その場面の業務手順書の中に秘密保持契約の締結ステップを組み入れてください。
多くの場合、営業部門がその対象部門になると思います。営業部門の業務手順書の中に、ファーストコンタクトの次の本格ビジネス交渉に入る前に、秘密保持契約を締結することを組み入れてください。明確に業務手順書に組み入れることで、秘密保持契約の締結が徹底されます。
また、営業部門の担当者がスムーズに秘密保持契約書の締結を取引先様に提案できるよう、秘密保持契約書についての理解を深めるための勉強会等を行うのもよいでしょう。

②取引したい相手とコンタクトできたときは、間髪入れずに秘密保持契約書の締結を提案しましょう。

2つ目は、スピード感を持って締結提案をしましょう、というご提案です。

取引をしたい相手方とのファーストコンタクトに成功したときは、多少強引にでも秘密保持契約の締結を提案しましょう。ここで遠慮は不要です。秘密保持契約を締結しようという提案が、失礼とか厚かましいと解釈されることはまずないと考えて良いです。
秘密保持契約の締結提案に対して、相手方がかたくなに拒否する場合は、その理由をよく確認する必要はありますが、そもそも相手方が当方と取引をする意思がないことの現れであることも多いので、その場合は、他の取引先とのビジネスにパワーをシフトした方がいいかもしれません。
秘密保持契約の締結提案への相手方の対応を見ることで、取引への期待感、興味を見ることができるという面もあります。

③スピード勝負です。いつでもすぐに提示できるように御社オリジナルのひな形秘密保持契約書をあらかじめ準備して、配備しましょう。

3つめは、万全の準備をしましょう、というご提案です。

優良な企業に対しては、取引希望を持つ者が多く存在することが想像できます。それらは御社のライバルです。したがって秘密保持契約の締結提案もスピード勝負となります。秘密保持契約は独占権を伴うものはほとんどないとはいえ、最初にコンタクトした順に優先的にビジネス交渉をすることは普通に考えられます。

秘密保持契約書の提案をする段になって初めて法務部門や専門家に契約書のドラフト作成を依頼するのではなく、あらかじめ御社のビジネスを想定して作成した御社のオリジナル秘密保持契約書ひな形を用意しておき、営業部門に配備しておくといいでしょう。

ファーストコンタクトで名刺交換した翌日あるいは当日の夜に秘密保持契約書ドラフトを提案するというぐらいの迅速さでアタックするのがいいのではないでしょうか。

③秘密保持契約はだらだら交渉するものではない。はやく落としどころを見つけて、早期締結を目指しましょう。

4つ目は、交渉はほどほどに、というご提案です。

秘密保持契約の締結交渉はあまり時間をかけて行うものではないと考えます。
当方からのドラフトに対して相手方から修正要請のあった場合は、その内容を迅速に確認して、実務上対応できないものや、不当に当方の権益を犯すものでない限り、当方のドラフトの文言にこだわりすぎず、修正要請を受け入れてさっさと締結してしまうくらいの頭の柔らかさも必要です。

秘密保持契約に関して、実質的でない文章表現の問題や、実務的に対応できる範囲の些細な論点にこだわって、時間をかけて修正案の応酬を繰り返している場面もたまに見ますが、これは正直時間の無駄です。スピード感をもって秘密保持契約を締結しましょう。

⑤契約は結んでからが本番。適切な契約書管理と、確実な規定内容の履行を。

最後5つ目は、結んだ契約の管理は抜かりなく、というご提案です。

契約書の締結をしたらそれで安心してしまうというのが、現場部門あるあるです。その結果、同じ取引先に対して同じテーマで重複して契約書を締結したり、契約の有効期間が切れていたことに気づかなかったというようなこともあります。契約書というのは、その内容を当事者が遵守し履行して初めて意味を持つものです。御社として締結契約書リストを作成して、適切に管理するようにしましょう。

まとめ

秘密保持契約をビジネスに活用するための5つのコツについて述べました。
ただ単に「秘密保持契約を活用しよう」というスローガンではなく、具体的な手順書への反映、ひな形書式の準備などの行動に移すことにより、実行への良い流れを作れると思います。
さあ、今から行動に移しましょう。