契約交渉でちゃぶ台返しをするような場合があるのですか?
ありますねぇ。
秘策中の秘策ですね。
契約交渉におけるちゃぶ台返しとは
「ちゃぶ台返し」というと、昭和のアニメ「巨人の星」の、星家の茶の間、飛雄馬の父一徹がちゃぶ台の上の食事をひっくり返して怒りをぶちまけている有名なシーンを思いだす方も多いでしょう。
何かの原因で権力者が怒りをぶちまけることによって、周辺の者がそれまで苦労して仕立て上げたものを無にしてしまうような場合に「ちゃぶ台返し」という語が用いられます。
契約交渉でも、両当事者の交渉担当者が交渉を重ねて一応の合意に至り、あとはそれぞれの決裁者を交渉の場に呼び込んで、あとは契約署名式をするだけという状態を用意したのに、その場で決裁者が「こんな契約ダメだ、やり直しだ。」と怒り出し、周辺があっけにとられるというようなことがたまにあります。こんな状況を「ちゃぶ台返し」と呼んでいます。
契約交渉でちゃぶ台返しをされたときのベストな対応とは?
契約交渉の中でちゃぶ台返しをされたときのベストな対応を考えてみましょう。
なによりもまず、冷静になって、ちゃぶ台返しをした相手のことをよく観察することが大切です。
ちゃぶ台返しをされると、まあ大概の人は動揺すると思いますが、ここはあえて冷静を装って、こちらからあえて声をかけたりせず、幾分冷めた目でその後の動きを観察するのが良いです。
じっくり観察すると、そのちゃぶ台返しをした人のその後の動き(動作と発言)からちゃぶ台返しをした人の心境が見えてきます。
その心境は、
• こんな契約は締結できない。交渉決裂で構わない。
• 一部の条項が我慢ならない。最後になんとかこちらが考える条件に巻き戻せないか。巻き戻せなくても契約はするつもりだが、ここで揺さぶりをかけて譲歩を引き出したい。
という二つに大きく分かれます。
そして、実際は後者である場合が大半です。
後者であることがわかったら、普通の契約交渉プロセスと同様に条件交渉をすればいいだけです。
どちらかというと、いったん合意した内容をちゃぶ台返しで再び蒸し返したわけですから、交渉のセオリーから言うと蒸し返し側に負い目あるはずですから、きちんと前提と内容を納得いくよう説明して元の案ままでいくというのが綺麗な姿だと思いますが、顔を立てて若干の譲歩をしても良いとは思います。
ちゃぶ台返しをされたときの、ちょっとマズイ対応
ちゃぶ台返しをされたときの対応としてまずいのが、ちゃぶ台返しをされたときに、動揺して慌てて反応することです。
「え、どうしたのですか。どこか問題のところがありますか。」
と慌てる姿を見せるのは、まさしくちゃぶ台返しをした側の術中にはまった対応になります。
もう一つまずいのが、売り言葉に買い言葉で、「そしたら今回のお話はご破算にしましょう。」と怒りの反応をすると、本当に破談になってしまうことにもなりかねません。
せっかく重ねてきた契約交渉の過程が無駄になってしまいます。やはり、ビジネス交渉で感情的になると、ほとんどいい結果は生みません。
ちゃぶ台返しをされたら、冷静になって相手のことを観察し、次のアクションを待つのがベストな対応でしょう。
戦略としてのちゃぶ台返しの是非
では、逆の見方として、当方が交渉の戦術として「ちゃぶ台返し」をするというのはどうでしょう・・・。
ちゃぶ台返し戦術に成功して交渉の最後に有利な条件を得て契約しても、その後に継続するビジネスをやっていく中で、相手方の心の中には当方のことをちゃぶ台返しをするような卑怯な奴だという印象が刻み込まれているので、心から信頼できるビジネスのパートナーにはなりにくいかもしれません。
ちゃぶ台返し作戦は成功しても失敗しても、いずれにしても良いものを残しませんので、あまりおススメしません。というのがすぎやんの考えです。
契約交渉では少々のことに動じない胆力が必要ということですね。
契約交渉を部下に任せておきながら、最終結果に突然だめだしするというのはあらゆる点から問題がありますね。