契約自由の原則の内容と契約自由の原則の限界について

契約書の基礎
どてらいさん
どてらいさん

「契約自由の原則」という言葉を聞いたことありますが、どういう意味ですか?

すぎやん
すぎやん

別に、ビジネス会話で口に出すような用語ではないし、覚える必要もないですが、契約書を作成したり審査したりするときのベースとなる考え方ですので、ざっと説明しますね。

契約自由の原則の内容

通常のビジネス実務において口にすることは稀ですが、頻繁に意識する概念として「契約自由の原則」というものがあります。

これは、「個人間の契約関係は、契約当事者の自由な意思によって決定されるのであって、国家権力は干渉してはならない」という近代私法の原則です。
いわゆる私的自治を尊重する考え方で、近代資本主義社会のベースとなる考え方です。

契約自由の原則は次の4つの自由から構成されていると言われています。

1つ目は、「締約の自由」といい、契約を締結するかどうかは個人の自由であるということ。

2つ目は、「相手方選択の自由」といい、どのような相手方と契約するかは個人の自由であるということ。

3つ目は、「内容の自由」といい、どのような内容の契約にするかは個人の自由であるということ。

4つ目は、「方式の自由」といい、口頭、書面、電子的記録、その他どのような方式によって契約するかは個人の自由であるということ。
です。

自由も行き過ぎると弊害が出てくる。(契約自由の原則の限界)

資本主義の高度化につれて、独占的企業による支配力の拡大や、経済的弱者の出現などのひずみが生じます。そのような中、契約自由の原則を前面に出し過ぎると、ひずみの拡大に拍車がかかることにもなりかねません。

強い立場の者が弱い立場の者に対して一方的に有利な内容の契約を押しつけて締結させる。
強い者が力を背景に弱い者を市場から排除してしまう。
などと、いわゆる弱肉強食の社会が広がるわけです。

そこで国家権力が、契約自由の原則に対して一定の制限をしてそのような弊害を押さえる政策をとっています。
制限の例として、労働者派遣契約の形式を書面に限定するなど「方式の自由」を制限したり、消費者保護の観点から立場が弱い消費者を一方的に不利な立場に追い込むような一定の契約条件を無効とするような「内容の自由」の制限などがあげられます。

こういった国家権力による制限は、基本的に法律に規定されています。国家権力による恣意が働かないようするためです。

契約自由の原則という言葉は契約実務において直接的に使われることはあまりありませんが、ビジネスの過程で契約に接するなかで頭の中のベースの部分においておいていただきたい概念です。

どてらいさん
どてらいさん

自由も尊重しすぎると、不利益が生じてくるということですね。