契約とは。契約の定義と契約の特徴を確認しましょう。

契約書の基礎
すぎやん
すぎやん

契約とは何か。
実務的にはその講学的な定義を暗記する必要は全くないのですが、それから読み取られる契約の特徴については契約書を取り扱う際のベースとなる知識です。
簡単に説明しますので、「ふーん。なるほど。」と思っていただければいいです。

どてらいさん
どてらいさん

ふーん。なるほーど。

まずは、講学上の定義から・・・。

「契約とは何か」 辞書や学術書に出てくる定義を見てみましょう。

  • 当事者間の合意(約束)であって、当事者間に法律関係(権利義務の関係)を生じさせるもの
  • 当事者同士の意思表示が合致することで成立する法律行為
  • 互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち一方の申込みと他方の承諾によって成立する法律行為

いきなり難しい用語が飛び出してうんざりしたかもしれませんね。確かに、実際の生活やビジネス実務ではその講学的な定義を覚える必要はもちろんないし、その定義を意識する必要もないですね。

運賃を払って通勤バスに乗ることも契約ですし、うどん屋さんできつねうどんを注文して調理してもらい、食べて代金を支払うことも契約ですし、理髪店で散髪してもらうことも契約ですし、スーパーでリンゴを買うのも契約です。

私たちが社会で生活している中では、朝から晩まで、意識していてるいないにかかわらず、無数の契約をしています。また、ビジネス現場でも、「部長、契約取れました!」とか「それは契約違反だな」とか、一日に何度も「契約」という言葉を見聞きするでしょう。

ここでは、頻出単語である「契約」という言葉を講学的に定義するとこういうことになるんだな、と感覚的に感じていただければいいと思います。

講学的な「契約」の定義から読み取れる「契約の特徴」

講学的な「契約」の定義から、次のような「契約の特徴」を読み取ることができます。

  1. 契約は1人だけじゃ成り立たない。契約には2人以上の当事者が必要。
  2. 契約は合意、約束、意思の合致である。契約には申し込みと承諾が必要。
  3. 契約は法律行為である。契約に定める当事者の意思の実現を法律が助太刀してくれる。
どてらいさん
どてらいさん

えっと、うどん屋さんが、メニューに「きつね 380円」と書くのは、1人でやってるだけなので「契約」じゃないですね。

すぎやん
すぎやん

そうですね。それは契約の申し込みですね。
お客さんがメニューを見て、「きつねうどん、ちょうだい!」と注文するとそれが承諾になって、契約が成立するという整理ですね。

どてらいさん
どてらいさん

なるほど。
では、3つ目の「法律が助太刀してくれる」というのはどういう意味ですか?

すぎやん
すぎやん

端的に言うと、契約違反があったときに裁判所が法律に基づき助けてくれるということです。
さっきのうどんの話でいうと、お客さんがうどんを食べたのにお金を払わないというのはお客さんの契約違反であり、うどん屋が被った不利益(損害)の回復(賠償)を裁判所が手伝ってくれるということです。まあ、うどん代金をもらえなかったことだけで裁判する人はいないと思いますが、理論的にはそういう整理になります。

どてらいさん
どてらいさん

ふーん。なるほどね。

まとめ

契約実務の現場で契約の定義を意識することは、ほとんどありません。しかし、上に出てきた契約の特徴は、契約書の作成・審査の実務において認識しておくべきベースの知識であることは確かです。

たとえは、契約の特徴の一つである「契約には2人以上の当事者が必要。」について、契約書の作成、審査においては、当方の主張だけではなく、相手方の存在を意識しながら進めていくことが大事ということにつながります。
また「契約は法律行為である。」については、「契約書は(互いに)守れる内容であるべきだ」という考え方にもつながります。

いたずらに自己の主張や権益ばかりを織り込んで、相手方が到底守れないような契約書を作り上げることが必ずしも正解ではない、ということはこの契約の特徴と照らし合わせても理解できるかと思います。

バランス感覚が大事ですね。