今回は、すぎやんが知っている交渉の達人が使っていたテクニックの一つをご紹介します。
交渉の達人のスゴ技
すぎやんが企業の法務部にいたころ、ビジネス系のマネージャーで私がひそかに交渉の達人と呼んでいたI氏という人がいました。
そのI氏が、海外の巨大企業の交渉者と英語での契約交渉を行う場に立ち会ったことがあります。
英語が卓越なのはもちろんですが、彼の議論の組み立てのテクニックに感心しました。
相手方から、英語で長々と主張されたのを受けて、I氏がこう切り返します。
「その点に関しては、私どもとしては3つのポイントがあります。
1つは・・・。2つは・・・・。3つは・・・・。
以上3つのポイントからその主張は受けることができない。見直してほしい。」
といった趣旨です。理論だってて、先方も譲歩案を検討しています。
達人の説明を聞くと・・・
交渉のあとでI氏と立ち話をしました。
「あの論点整理すごいですね。一瞬の間に理論立てて3つのポイントにまとめて説明している。すごいですね。」
と話しかけると、
「実は、3つポイントがあると言ってから、しゃべりながら3つ考えているんですよ。
3つあると言いつつ4つや5つになることもあるし、2つ目と3つ目は結局おんなじ趣旨を言い換えているだけの場合もあるよ。だけど、この話法は論点が整理できてる感じがしていいでしょ。なによりも話を最後まで聞いてもらえるしね。」
と話してくれました。
なんと、ポイントが3つありますといった時点では3つに整理できているわけではないそうです。びっくりです。
I氏が数多くの交渉を経験してきた中で取得した技術でしょうので、簡単にまねすることはできないですが、一つの交渉技術として取り入れてみてはいかがでしょうか。
対象の課題の事前検討を十分行っておけば、想定問答にない相手方のリアクションにも的確に対応できるのだと思います。
僕も使える場面が来たら「ポイントは3っあります」作戦を使ってみよう。