契約書のタイトル(表題)の決め方を教えてください。
特に決まったルールはないですが、ここはあまり独自性を発揮する必要はないですね。
素直に契約の内容を表すタイトルにした方が良いです。
契約書のタイトル(表題)は様々です
契約書のタイトル(表題)は次のように様々のものがあります。
- 契約書…単に「契約書」というもののほか、取引の種類を表示した「売買契約書」、「業務委託契約書」、「賃貸借契約書」などがあります。
- 覚書
- 協定書
- 合意書
- 確認書
- 念書 etc.
様々な種類がありますが、違いがありますか?どう使い分ければいいですか?
全て契約を記載した書面なんですが、微妙なニュアンスの違いはありますね。
たとえば、「覚書」は比較的シンプルな合意事項を1、2枚の用紙にまとめる場合や、既存の契約書の変更や期間延長を合意する場合に使う傾向があります。
「覚書」、「確認書」などのタイトルの誤解に注意
「覚書」とか「確認書」というタイトルの書面だと、なんとなくそんなに重みもなく、「ハンコを押してもいいだろう」、「サインしても問題ないだろう」と思いがちです。
実際に、契約に関する打ち合わせの最後に、相手方から、「契約の内容は今後も引き続き話し合って作っていくので、正式契約までにはまだ時間がかかりますが、今日のところは、今日までのの打ち合わせの成果としてとりあえずこの書面にサインしてください」といった説明とともに「覚書」なり「確認書」なりの表題の書面を提示されて、サインを要求されることがあります。
要求された方としては、次のような考えが働きます。
「この書面は覚書であって正式契約ではないので、(契約締結権限のない)自分がサインしても、特に問題ないだろう。」
「確認書に書かれている内容はまだ未確定であって、今後も契約協議は続くので、あとで社内で検討した結果、確認書の内容と異なる主張をしても、別に問題になることはないだろう。」
「折角今まで契約協議をしてきたので、これまでの成果を書面化しておくというのは、自然なことではないか。どうせ単なる「確認書」なので正式に縛られるものでもないし…」
しかしこれらの考え方には、実は非常にあぶない落とし穴があります。
契約書は中身がすべて。タイトルにはほとんど意味がない。
まず最初に認識していただきたいのが、覚書、確認書というタイトルの書面であっても、そこに書かれている内容は当事者に法的拘束力が生じる契約書そのものという場合があるということです。むしろ、書面の中で明確に「この書面は法的拘束力がない(当事者を拘束しない)」旨を明記してある場合を除き、押印やサインがある書面には一定の法的拘束力がある場合が大半だといえます。
したがって、覚書、確認書というタイトルの書面であっても、気軽にハンコを押したり、サインをすべきではないです。
書面のタイトル(表題)は、書面の内容を端的に表現したものであることが一般的ですが、書面の効果と法的拘束力に影響を与えるものではありません。
ハンコを押すとき、サインをするときはやっぱり慎重にならないといけない
なんとなく軽いイメージのタイトルがついている書面であっても、書面に書かれている内容を読んで、理解して、納得しないとハンコを押したりサインをしてはいけません。
また、そこに書かれている内容に合意した、約束したということを、会社として表明することになりますので、自分自身が会社から与えられた権限としてそのような合意・約束をすることが可能かどうかという判断も必要です。
そんなの当たり前だと思われる方もあるでしょう、しかし、相手方の巧みな説明や、その場の状況や雰囲気でそのリスクを踏んでしまうことも実は多いのです。
実際に取引上のトラブルが発生して、相手方とのやり取りの経緯を確認していく中で、ある担当者がハンコを押した当方に不利な内容が書かれた書面が発見され、「あーあ(ため息)」という場合がよくあります。
その担当者に話を聞くと「あれは正式な契約書ではないし、当時、特に問題ないと自分で判断したので個人印を押しただけです。」と弁明しますが、相手は、「あの書面は御社との正式な合意事項です。」と主張してきます。その相手の主張を覆すのはなかなか困難です。
注文書や仕様書などのメモのような書き込みも・・・
別の例ですが、例えば注文書や仕様書など取引先とやり取りする書類に、備考等と称して何らかの書き込みが書かれることがあります。そしてそれら書類にハンコを押すと、この書き込みも「契約合意」としての効果があることに注意しましょう。
備考などに余計なことは書かないという心がけが必要でしょう、
ホワイトボードの板書も・・・・
会議時にホワイトボードに議事内容を記載していって、会議終了時に参加者がホワイトボードに署名して、その状態をスマホで写真を撮ったりすることがあります。
これも実は危ないのです。その写真が当事者間で合意した契約とみなされることがあるからです。
やっぱりハンコを押したりやサインをするときには、覚悟をもって・・・
端的にまとめると、書面にハンコを押すことやサインをすることの重みと責任を意識して行動する必要があります。
ハンコやサインの重みを再確認しました。今後はより慎重にハンコを押したりサインをしようと思います。
そうですね。自分を守るためにも慎重であるべきです。