契約交渉担当者を決める際に注意しないといけないことは何ですか?
契約条件を決定できる権限がある人が直接交渉する、
または交渉チームに加えることが大事です。
効果的な契約交渉のためのチーム編成
契約交渉を効果的に行うためには、「当方の誰が交渉を行うか、相手方の誰と交渉を行うか」をきちんと決めることが非常に重要です。
ここを誤ると、契約合意までの時間がかかったり、当初描いていたイメージと異なる契約になってしまうなどの弊害が出てきます。
個人事業主や中小企業のように、契約交渉担当者=社長(代表者)となる場合や社長自らが契約交渉に直接的に関与する場合はあまり問題にはならないが、大規模な企業などで社長以外のメンバーで契約交渉チームを編成して交渉を行う場合の注意点について述べていきます。
契約条件を決定できる権限がある人を契約交渉チームのトップに設定する。
契約条件を決定できる権限がある人を契約交渉チームのトップに設定することが重要です。また権限がある人を契約交渉チームに入れることができないときは、権限がある人と密接に連携できる者を契約交渉チームに入れることがポイントです。
これができていないと、契約交渉がすべて二度手間になって、合意締結まで時間がかかります。
大企業では社長自身が契約交渉に出席しないのはごく普通です。
この場合、契約交渉にあたる社員が予め会社から与えられた権限の中で交渉し、それを越える内容であれば持ち帰って確認する、ということになるのは仕方ない部分もあります。しかし、その持ち帰りが多すぎると、いっこうに交渉が進まない、時間がかかるということになります。
当然といえば当然ですが、契約交渉にやたら時間がかかっている事例の原因の大半はここにあります。
また、権限がある人が契約交渉チームにいないことのリスクとして挙げられるのが、いわゆる「大どんでん返し」の発生リスクです。
この「大どんでん返し」というのは、契約当事者の双方チームで時間をかけて丁々発止の議論の結果、一つの契約書が完成した。そのうえで権限者に契約の締結を上申したところ、「こんな内容では契約してはいけない。」とダメだしされて、契約交渉振り出しに戻るという事態です。
すぎやんの企業法務実務の経験の中でも何回かこの「大どんでん返し」事件に遭遇しました。すぎやんは、「大どんでん返し」は契約交渉において最も避けるべき悲劇だと考えまています。これが起きると、両者の契約交渉実務者間の虚無感と絶望感には計り知れないものがあります。当然その後のビジネスもあまりうまくいきません。
権限がある人が交渉チームに入っていると、交渉状況は逐一その権限者と共有されるので、「大どんでんがえし」はまず発生しません。
契約交渉チームは固定メンバーで。
契約交渉チームのメンバーは、特別な事情がない限り、固定化するべきです。
交渉のたびに交渉メンバーが入れ替わると、そこまで積み重ねた合意事項を反故にする発言をされたり(ちゃぶ台返し)、これまでの議論と全く文脈が違う提案をされたりと、交渉がうまく進みません。
「その件は、前回の交渉で合意しましたよね。」という発言が出る場面は極力避けなくてはなりません。
契約書が取り扱うビジネスを担当する部門がメインメンバー。法務、知財、経理等はサポートメンバー。
日本企業の契約交渉においては、ビジネスのメンバーが契約交渉の主役であり、法務、知財、経理等はサポートメンバーであることが通常です。
一方、欧米の企業の多くは社内弁護士を擁する法務部門があり、その社内弁護士が会社から付与された契約内容の決定権限を背景に前面に立って交渉を行うようなことも多いです。
すぎやんの法務実務経験の中でも、ビジネス部門のメンバーから依頼を受けて契約交渉に出席したことは数多くありますが、相手方が日本企業の場合はほとんどすべてこのパターンでした。
相手方と対峙する前に必ず契約交渉チーム内での作戦会議を
契約交渉の現場に、準備なしで臨むことは非常に危険です。
交渉メンバーの一人一人が勝手に気ままな主張すると、纏まる契約も纏まらないということになってしまいます。
交渉に臨む前に、チームメンバーで十分な作戦会議をしておくべきです。それが交渉をうまく進めるための鉄則です。
契約交渉の冒頭で相互に契約交渉メンバーを確認すること
当方が良い契約交渉チームを編成できたとしても、先方の契約交渉メンバーががたがただと、契約交渉はうまく進みません。
一番最初の契約交渉の冒頭で必ず契約交渉チームのメンバーとそれぞれの権限を相互に確認しておくべきです。
当社の場合は、わたくしどてらいが交渉チームの代表をあい務めさせていただきます!
どてらいさんなら権限はあるし、交渉力もありますし、良い契約交渉ができること間違いありませんね。