「意志」と「意思」の違いと契約書での使用について

契約書の基礎
どてらいさん
どてらいさん

あんまり意識していませんでしたが、言われてみると、「意志」は積極的な強い思いのような感じで、「意思」はただぼんやりした希望を抱いている感じがします。

すぎやん
すぎやん

一般的にはどてらいさんの言う通りに使い分けられていますね。

ただ、契約書に使う場合には、「意思」でほぼ統一されています。

「意志」と「意思」

「意志」も「意思」も、どちらも頭の中で考えている思いを表す語で共通していますが、

「意志」は、志(こころざし)という語が入っているように、単なるぼんやりした思考というより、対象に対する強い気持ちが言葉に含まれています。英語でいうと「will」のイメージです。

一方の「意思」は、頭の中で考えていること、思い、といった意味をもちます。英語でいうと「mind」とか「intention」のイメージです。

契約書の用語としては・・・「意思」一択。

結論から申しますと、契約書や法律関係で出てくる場合は、ほぼ「意思」一択で、「意志」は用いません。

契約書でよく出てくる用語として「意思表示」という言葉があります。

「意思表示」とは、人 が法律効果の発生を欲し、かつ、そのことを発表する行為をいいます。

例えば「売りたい」「買いたい」「契約を更新したい」等の思いを口頭で告げたり、書面で通知したりすることがこれにあたります。

「意思表示」という用語が使用されている契約条文サンプルを示します。

第 ●●条(有効期間)
本契約の有効期間は、2022年12月1日から1年間とする。ただし、期間満了の2ヶ月前までに甲または乙から書面による別段の意思表示のないときは、本契約はさらに1年間更新されるものとし、その後も同様とする。

そして、契約書実務としては・・・。

当方が提案する契約書を作成する際には、「意思」で統一するよう配慮すべきですが、先方から提示された契約書案に、「意思」と「意志」の誤用を見つけたときはどうしましょうか?

契約書の中では「意志表示」という四文字熟語は使用しないので、「意志表示」となっていたら「意思表示」に修正を提案した方がベターです。しかし、2文字の「意志」と「意思」のニュアンスの違いを理解したうえで契約のコンセプトとして問題が無いようであれば、当事者間の力関係、場の雰囲気に即して修正を要請するかどうかは判断して頂ければ良いと考えます。

どてらいさん
どてらいさん

個人的には「意志」という語の方が好きですね。成功への意志が強い人でありたい。

すぎやん
すぎやん

どてらいさんらしいですね。